ベンチの上。そこにあたしは正座で座らされていた。その前に、サングラスを取った樫本監督と寿也が腰に手を当てて仁王立ちしている。そう、あたしは今怒られている最中なのだ(っていうかなんだこのラノベみたいな説明的一人称は)。
「全く…真島が運良く通り過ぎたからなんとかなったものの…」
「ちゃんは女の子なんだよ。なのに道の真ん中で大喧嘩って君は何をやっているんだい。顔に傷でもつけたらどうするつもりだったんだい?」
「真島さんはただあの場所からとんずらしただけじゃないですか!っていうかなんで怒られてるのあたし!あたしは別に悪いことしてないですよっつーかなんで寿也まで怒ってるのあたし別に悪いことしてないもん」
「ほーそれじゃお前俺があのままほっとけばどうなってたか分からないのか」
「野球を馬鹿にされて黙ってろって言いたいんですか!あたしの事は別にいいんです。でも野球を馬鹿にされたらそりゃあお返しに股間くらい蹴ってやらなきゃ気がすまないってもんです!!!!!
だからあたしは悪いことなんてしてません!!!!!」
「「「……………」」」
「ほんとに蹴ってましたよ、コイツ」
そしてあたしはこの日の練習中ずっとベンチで正座を強いられた。別に悪いことなんてしてないのに!ただちょっと股間をスパイクで蹴りつけただけだもん!(そりゃあそりゃあ見ものでした!)