結果的に、源氏は負けた。この世界の源氏は平家に裏の裏をかかれて負けたのだ。
敗走する中、突如現れた怨霊に苦戦を強いられる事になり九郎達大将は雑兵と離れ離れになった。今までが都合よ過ぎたのかもしれない。この戦の結果が、この世界異世界であると事をに痛感させた。自分達の知っている歴史ではない。つまり、これから起こりうる事は予想が出来ないことなのだと。
そんな中、平家は追い討ちをかけるように源氏に向けて火矢を放つ。
「弁慶さん! 兵は…残された兵はどうするんですか!?」
顔中煤まみれになりながら、望美は叫ぶように言う。その声色は、置き去りにするのか、と非難していた。
「仕方ありません。この状況で方々に別れた兵を回収していると僕達が火に囲まれて脱出出来なくなってしまいます。それだけは避けなければならない事です」
「望美、まずは大将を初めとするこの場にいる重鎮を安全な場所へ連れて行くのが先決だ」
「そうです。このような事を言うのは気が引けますが、兵は補充出来ます。でも大将は補充できません」
各々に降りかかる燃えた枝を振り払いながら、来た道を戻る。途中平家側の雑兵と鉢合わせたりなどあったが、先陣を切って斬りかかるは目の前の敵に斬りかかった。途中何回か、望美も剣を構えたがと譲の怨霊戦に備えてとで引き下がるしかなかった。
「さん、京に帰還するまでの体力配分を考えていますか?」
「勿論だ。だから、短期で決着がつくようにしている。急所は外れていないと思うが? 何か問題でもあるか?」
「……いいえ」
この時、弁慶の目の色が少しだけ何時もと違う色をしていたが、はそれに気付かない振りをした。
「(今は何をしても京へ戻る事が先決だ)」
わたし達は此処で立ち止まってはいけないのだ。