結局、は望美に拝み倒されて共に舞う事となった。
「……剣舞なんて、やったことないぞ」
「ごめん…でも一人じゃ心細くて」
壇上に上がりながら望美と二人コソコソと会話をする。望美は何時も持ち歩いているという朔のお下がりの扇を手に持ち、は腰に下げていた剣を鞘ごと手に持ち。舞台へと上がっていく。
きっと譲達は驚くんだろうな、と思いながら二人は背中合わせに立つ。絶妙なタイミングで音楽を奏で始める楽者達。
「うわ…タイミング良すぎ」
「そうだな。では、望美…共に一差し…舞おうか」
「ノリノリ」
「そうでなくてはわたしに魅せる舞など舞える訳がないだろう? そもそも、わたしは舞えないのだから」
「いや…それにしても格好良すぎ。私に惚れそう」
「それは光栄……ふふっ」
「ほんっと、男前過ぎるよ」
「望美には負けるけどね」
「……あれ? 先輩達じゃないですか?」
「ほんとだ。どうしたんだろう」
「朔殿、これはどうしたのですか?」
「あ、弁慶殿。実は…後白河院に舞ってくれないかと頼まれて。私は尼だから断ったのですが、望美達は断りきれずに…」
あの場に居たくなかったのだろうか。一人朔は戻って景時の隣に腰を降ろす。
「も断ったのだけど、望美に無理やり」
「まぁ…先輩の事ですし。ですが、今回は事が大きすぎます。大丈夫なんでしょうか? そもそも先輩達は舞えるんでしょうか」
「簡単なのだったら、以前教えたけど…。望美は扇を使うから問題はないけれど、は扇を使うものを剣で応用させるって言っていたから、心配だわ」
に剣舞が舞えるのかしら。
朔は一人そうごちりながら、舞台の上の二人を見つめる。楽者が、音を奏で始めた。