花断ちの習得には、まだまだ時間がかかりそうだ。弁慶曰く、今は平家も大人しくしているようだが、まだ何時戦に発展するか分からないが、必ず近いうちにそうなるだろうと予測した。僅かだが、まだ時間があると無理やり心に余裕を持たせて、望美と二人剣を握る。
達がこの世界にやって来た時の戦があの、宇治川の戦いならば次は三草山の戦いだろうと、譲と話し合う。その合間に、怨霊退治を行いながら花断ちの稽古を重ねる。譲はあれから、源氏軍の弓が最も得手な人物に見てもらい、早々に及第点を貰ったようだ。
「望美は、力ずくでやろうとしているから、出来ないんだと思う」
斬るのは花びらだ。余計な力が入っていれば、斬れるものも斬れないだろう。
「でも、どうしても肩に力が入っちゃうんだよ」
「座禅でも組んで、精神統一してみれば?」
「そんなんじゃ間に合わないよ!」
「知ってる。焦らないで、焦ったら益々出来るものも出来なくなる」
「……難しいね」
「じゃ、諦める?」
「諦めない!」
「その心意気」
望美は大きく息を吐き、軽く瞳を閉じた。脳内に花断ちのイメージを膨らませ、膨らませ。そして、おおきく振りかぶった。
剣圧に押され、花びらが避けるように揺らめいた。