海神の方舟に乗って


01.境界は酷く曖昧

01.境界は酷く曖昧

 ふあ。
 パーティーが始まって、約二時間が経過した頃だろうか。は軽いあくびをした。そして、腕時計を見ながら目の前に座る男に言った。

「もうそろそろお開きしなきゃねぇ。あ、有川、ラストオーダーどうする? わたし唐揚げ食べたいんだけどさ、流石に全部食べれそうに無いんだよね」
「じゃ、それ俺も摘む。ドリンクは…ジンジャーエール」
「わたしはノンアルコールのカンパリオレンジで。望美、有川ーラストオーダーするよ」

「あー私、オレンジジュース!」
「俺はウーロン茶で」

「はいよ。あ、お姉さーんオーダーお願いしまーす」

 ホール担当の店員には声をかけ、注文を行う。そして、テーブルにある空いた皿とコップを下げてももらうようにお願いした。

「そういえば、譲くん、そろそろ受験追い込みじゃない?」

 お正月を明けたら本格的なシーズンとなる。望美は譲に「頑張ってね」と言う。

「まぁ、でも有川なら楽勝でしょう? コツコツ真面目タイプだし、日頃から勉強はしてるだろうし」
「あぁ、譲は俺と正反対だからな」
「お前はそれでも、なんでも乗り切ってるからある意味凄いよな」
「まぁでも、将臣君だし」
「そう言えば、そうか」
「おいおい、俺を何だと思ってんだよ」
「有川だけど?」

 全ては、この時から決まっていたのかもしれない。


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