随分と洒落た店を見つけたもんだ、と思った。
「まさか、本当に先輩が先輩の言う通りスカートを履いて来るなんて」
「いやね有川…君、彼女と何年幼馴染やってんの? 結構、ていうか大分強引な子なんだよ」
「そうですね」
「そうですねとかお前何その感情の篭ってない言葉! 超寂しいんだけど!」
ジュースで乾杯をした彼等。クリスマスパーティーと言っても要は飲み会である。(まだ未成年な為、飲み物は全てノンアルコールカクテルかジュースだが。)
「でもほんとだよね。私、もしかしたらは何時も通りチュニックにジーパンにブーツインで来るかと思ってたもん。まぁ、そんな格好で来たら私が即効で脱がしてやるけどね!」
「セクハラ!」
お前は痴女か、とはツッコミを入れる。望美は手に持っていたノンアルコールカクテルをグビッと一口飲み「大丈夫、ストリップはしないからっていうかさせないから」と言った。
チキンに被りつきながら、は諦めたような表情を作る。
春日さん、ちょっとそれなんか間違ってます。
「あ、それよりも先輩」
「なに?」
「春日先輩から聞きました。レギュラーになったそうですね。おめでとうございます」
「ありがと。所で、君の方はどうだったの?」
はそこで骨付きチキンに齧り付く。君――有川 譲――は眼鏡を軽く上げて「まぁ……勝って引退する事は出来ましたよ」と答えた。
「うん、そうだろうと思ってた。だって、有川は筋がいいから。こっち――高校――上がっても、続けるのかな?」
「そのつもりです」
「そか」
「ほんっと、譲くんとって仲がいいよね? 学年違うし、家も近所じゃないのに」
「分野は違うけど同じ武道を嗜んでいるから結構、気が合うんだよね」
「それに、先輩を紹介してくれたのは先輩じゃないですか」
「あ、そう言えばそうだった」
ノンアルコールのカシスソーダのおかわりをして、望美は思い出したように笑った。もオレンジジュースを一口飲んだ。
外は、ちらホラと雪が降っているようだった。