01.

 夏休みの、夏合宿の日。
 あたし達が練習している所に、一人の男の子が乱入してきた。その子は偉そうに、こう言った。

「おれの球、受けてみてぇと思わねぇか!!!」

 何それ。自分が一番速い球投げれるみたいな。それは、あたし達(横浜リトル)を馬鹿にしているのか。そう思っていたら、寿也が「吾郎くん!?」と言ったのが聞こえた。なに、あれが。寿也の話によく出て来た“本田 吾郎”くん?にしてはなんだか馬鹿っぽい顔してるじゃないの。寿也、アンタ嘘言ってんじゃねぇの?あんな馬鹿っぽい奴が本田 吾郎なんて。あっはっは!笑い飛ばしてもいい?つーかなんだか、いらっとしてくるわ。ふざけんな。
 あたしの投手としてのプライドが、あんな一言で火がついた。だってそうじゃない。いかにも自分が一番いい球を投げるんだみたいな事を言われて。あたしも涼子ちゃんもムッとした。

「ざけんじゃねぇよ、アンタの球なんてこれっぽっちもすごかねぇよ」