05.蚊取ぶた殺人事件

 はい、今日は何故か寿也と三人で吾郎の家に居ます!吾郎に妹が出来たってさっき聞いたもんだからさーこれは拝見せねばと思い、静香さんから外出許可もぎ取った。
 で、バスに揺られて吾郎の家。久しぶりに茂野さんに会って「あー素敵なおじさまになってー年取ったんだねー」とか言ったら豪快に頭をくしゃくしゃにされた。「まだ年じゃねぇよ千種ちゃん、」とか言われて「えーそうなんですかー」って言いながら調子に乗ろうとすると「ちょ、失礼だよ千種ちゃん」と、寿也に諌められた。ちぇ、今回は我慢するよ。

「三年ぶりかしら?美人になったわねぇ千種ちゃん、」
「桃子さんも相変わらず綺麗ですねー肌の手入れとか、何してるんですか?」
「ありがと、でも煽てても何も無いわ。ちなみに、使ってるのは普通の化粧水に乳液よ」
「ほんとですかぁ」

「母さん、俺腹減ったんだけど。後、ちはるは?」
「はいはい、じゃあ早いけど夕飯作るわね。
 ちはるなら真吾と一緒に寝てるわよ。真吾はいいけど、起こさないでね、さっき寝たんだから」
「へーへー」
「…あれ?ちょっと、吾郎。今のアンタの家族状況を言いなさい」
「あ、俺に親父に母さんに弟の真吾に妹のちはるだろ」
「弟も居たの?あたし初耳だよ」

 見たいみたいとせがんで、寝ている部屋に連れて行って貰った。ドアを開けると、そこには可愛い寝顔が二つあった。この子が真吾くん。桃子さんに似てるね。

「真吾くん、きっとかっこよくなるねー」
「当たり前だ。俺の弟だしな」
「そんな事思ってないけど?
 だって、桃子さんに似てるじゃん。男の子って、お母さんに似たらかっこよくなるんだよ」
「ちなみに、女の子はお父さんに似たら美人になるんだよ吾郎くん」

 二人の寝顔を思う存分堪能して、夕飯が出来るまで吾郎と寿也がキャッチボールをすることになった。あたしは庭に出て軽く投げ合う二人をあたしは見ている。そんな時、何かを見つけた。
 何だろうと思って見たら、ブタの置物みたいなのだった。

「あれ、それは……」
「何です、これ」
「ちょっと前に無くなってた蚊取り線香を入れるブタだよ。こんな所にあったのか」
「あぁ、そんなのもあったかも。っていうか、これ割れてますよ。まだ使えるんですか」

 茂野さんとそんな話をしていたら、吾郎が「ゲッ」と言った。
(あぁ、犯人誰か分かっちゃった。きっとボール、当てちゃったんだろうな。っていうかなんか背後から殺気を感じる。あれあれ、でも後ろには桃子さんしか居ないし。つーかこの気配はもしかしなくても怒ってるんじゃ…)

 その後。
 あれだけ練習には気をつけなさいと言っているでしょう、それと壊したらちゃんと言いなさいって何回言ったら分かるの。まぁ、真吾とちはるが居て危ないからそれはもう押入れに仕舞おうとしてたものだからまだいいけれど。
 こんな感じで吾郎は桃子さんに言われていました(すっごいマシンガントークだった!)。